MOCHI2staff’s blog

ジェイウイングのスタッフ日記

支笏湖(しこつこ)

私は道外出身者ですが、初めて支笏湖の風景を見たときは結構衝撃的でした。

札幌から国道453号線を利用して行ったのですが、森の中の眺めの悪い道を1時間程ほど行き、湖畔へ向かう下り坂のコーナーを2つ3つ抜けると、突然視界が開けて湖とその向こうに聳える山が目に飛び込んできます。

写真はポロピナイ展望台という道路脇の駐車スペースからの眺めですが、実際に目で見るスケール感は、写真ではとてもじゃないが表現不可能。日本離れしたダイナミックな風景です。

湖面の向こうに見える大きな山の名は「不風死岳」。地理は好きなほうで、日本各地の地名は結構知っていますが、「死」という文字がある地名は他に思い浮かびません。

支笏湖を初めて訪ねたのが二十歳頃のことで、地元の有人からは支笏湖の「しこつ」は、昔は死骨と書いたんだとか、この湖は自殺の名所で、入水自殺した人は沈んだ体が湖底の木に引っかかり二度と浮かんでくることはないなど、都市伝説的な話も聞かされていたので、不風死岳という字面に少しゾッとしたのを覚えています。(風の止まない=不風死 から来ているとも言われるようです)

湖畔まで下りると、対岸の山が更に迫ってくるようです。右の山が不風死岳、その向こうに半分隠れて見える変わった形の山は樽前山です。

樽前山は、火山の多い北海道でも比較的活発な、100年を開けずに大-中規模のマグマ噴火を繰り返してきたランクA、常時観測対象の火山です。大規模噴火を繰り返す中で、上部が吹き飛びカルデラとなった後、中から更に溶岩ドームが盛り上がって今のような形となってます。不風死岳は活動を停止してから年月が経ち、頂上まで木々が繁茂していますが、樽前山は火山活動を繰り返しているため、中腹より上には木々が育たず、砂礫の荒野状となっています。

どちらの山も、火山活動の噴出物で形成された裾野が広大で、更に樽前山の不毛な山肌など見ると、支笏湖の静かな湖面と相まって、まるで生命感の無い、虚無的な印象を持ったものです。

支笏湖へのアプローチは、札幌からポロピナイへ出る国道453号線か、千歳や苫小牧から支笏湖温泉へ出るルートがありますが、初めて北海道へ来られて支笏湖を目指されるなら、湖と火山が形成するダイナミックな絶景がインパクト大の札幌からのルートで行かれるのを、個人的にはお勧めします。

 

ポロピナイの対岸、支笏湖温泉側から見た支笏湖。対岸に見えるのは恵庭岳という火山です。

そもそも、この支笏湖という湖自体が巨大な「支笏火山」の噴火口に水が溜まってできたカルデラ湖であり、恵庭岳や不風死、樽前などの山は、この巨大なカルデラの外輪山の後カルデラ火山活動により形成されたものです。

破局噴火とよばれる周囲を焼き埋め尽くすような超巨大噴火が、札幌から僅か30km程の場所で起こっていた(4万年以上前ですが)。そんな事実も、単に美しい景色というだけではない、自然への畏怖を感じさせる要素なのかもしれません。

www.mochi2.jp